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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「春」》夕日にすっぽり

 沈む夕日にすっぽりと包まれ、浮かび上がる大仏のシルエット。高さ120メートルの「牛久大仏」(茨城県牛久市)を約20キロメートル離れた霞ケ浦の湖畔から眺めた。

 この時期の夕暮れ、同県行方市側から霞ケ浦越しに西を望むと、太陽は富士山頂にかかる“ダイヤモンド富士”を演出した後、大仏の背後に落ちていく軌道を描く。行方市観光協会によると、ダイヤモンド富士が霞ケ浦から見られるのは11月下旬から1月下旬。空が澄みやすい1月頃になると、撮影場所についての問い合わせも多く来るという。

 好天に恵まれた撮影日、牛久大仏に沈む夕日を撮るため、霞ケ浦東岸に向かった。初めて行く場所なので、夕日と大仏がぴったり重なる正確な位置がわからなかった。

 しばらく湖岸で車を走らせると、数本の三脚が置いてあるのを見つけた。ここかな、と思い近くにいた男性に聞くと、「(10メートルほど右側を指して)昨日はあっちだったから、今日はここだよ」と教えてくれた。移動する太陽の位置に合わせて、撮影位置も日々ずれていく。撮影時間の日没までまだ2時間以上もあるのに、準備をする人は3人ほどいた。湖畔に停まる車は3台。先ほどの男性は「毎年来ているけど、難しいね」とつぶやく。

 1時間経つと、車は20台、湖畔に並ぶ三脚は40本になった。さらに1時間、日没の直前になると撮影者は約100人までに。山梨県から来た男性は「富士山のふもとに住んでいるが、遠くから太陽を入れて撮りたい」と意気込んでいた。

 千葉県の男性は10年以上もここに通っているという。「湖畔をよくサイクリングするので、地理はよくわかっている。天気次第で太陽が見られない日も多く、昨日は曇ってダメだったよ」と話した。

 いよいよ日没に迫り、太陽が大仏に近づく瞬間、思っていた場所と違うところに太陽が落ちていった。このままでは夕日が大仏の左側に落ちてしまう。800ミリのレンズを抱えて、急いで北側へ走った。20メートルほどいったところで、ぴったりと2つが重なる。地平線近くの雲はすっきり晴れ、夕日も大仏もしっかり見えた。

 ただこの時間、真冬の時期としては暖かく10度を超えていた。手前の湖の水面が蒸発し、靄(もや)がかかったが、大仏だとわかるくらい。

 しかしここまで晴れることは珍しいからか、まわりからは「やったー!」「今日はいけるね」なんて言葉も聞こえた。美しい光景を見せてくれた大仏様に感謝だ。

(水)

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。1月のお題は「春」です。