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【緊迫する世界】トランプ氏、弾劾裁判は乗り切ったが… 新型肺炎は「諸刃の剣」米国といえど逃れることはできない (1/2ページ)

 年明け早々、米国に「ブラックスワン」(黒い白鳥=めったに起こらないが、壊滅的被害をもたらす事象のこと)が立て続けに2羽飛来した。「イラン革命防衛隊の精鋭『コッズ部隊』のガーセム・ソレイマニ司令官殺害による中東情勢の緊迫」と、「中国発の新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大」である。

 それをドナルド・トランプ大統領は好機と見なし、その勢いで弾劾裁判を乗り切り、4日の一般教書演説にのぞんだ。ここぞとばかり、「私が大統領に就任してから株価は70%も上がった」と自画自賛し、自分がいかに米国経済を復活させたか、そして、いかに外交政策を成功させたかを強調した。

 ただ、トランプ氏にも落とし穴がある。11月の大統領選前に、新型肺炎の蔓延(まんえん)で米国経済が失墜すれば、大統領再選はおぼつかなくなる。折しも、米中貿易戦争で第1段階の合意に達したばかりだ。

 中国は、米国から2000億ドル(21兆9880億円)以上の工業製品や、農産物などを輸入する約束をした。特に、貿易戦争の主戦場となった米国産農産物の輸入再開で、米国の農家は救われるはずだった。

 だが、この新型肺炎で中国経済が低迷すれば、その輸入再開も難しくなる。トランプ氏の支持基盤である米南西部のファームベルト(農業地帯)が見限る危険性もある。

 中国を大口顧客とする原油の価格は、新型肺炎発生以降の1カ月で15%も下落した。中国は、世界のサプライチェーンの要衝であり、原油や天然ガス、農産物の一大消費国である。新型肺炎は、中国の経済・交通の要衝である湖北省武漢市で発生した。武漢市など複数の都市が封鎖され、人の流れがストップすることで、モノの流れも滞っている。

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