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【高橋洋一 日本の解き方】入国拒否の自重求めるWHO…その判断を信用していいのか? 緊急事態宣言で後手に回り、事態悪化 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、各国で中国への渡航歴のある人の入国拒否などが相次いでいることについて「公衆衛生上の意味はあまりなく、不安や悪いイメージを助長する恐れがある」と自重を求めた。

 「公衆衛生」とは、WHOの定義では「コミュニティーの組織的な努力を通じて疾病を予防し、生命を延長し、身体的、精神的機能の増進をはかる科学であり技術」とされる。

 異なる概念として「臨床医学」があるが、これは一人の患者を対象として病気の診断や治療を行うものだ。一方、公衆衛生は、疾病の背後にある社会的な環境要因から対策を考え、国や国際社会という大きな観点で費用対効果を含めて評価する。

 一般論では、人や物資の移動制限は、費用などのマイナス面を考慮すると必ずしも費用対効果から有効ではない。移動制限より感染者との濃厚接触を避け、手洗い・消毒する方が感染防止効果が高いからだ。

 ただし、感染力が強いなど特定の状況では移動制限も一時的に有効であることはWHOも認めている。

 しかも、経済面でのマイナスという観点では、初期段階で感染者が特定できず、将来の不確実性が高いと経済活動を著しく阻害する。物資の移動制限は不確実性を減少させるので、費用対効果の面からも正当化できる。今はその段階であろう。

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