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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】政府も自治体も問題だらけ…進まぬ「火山シェルター」設置 (2/2ページ)

 一方で、北海道・有珠(うす)山のように小規模なシェルターが1カ所しかないところもある。シェルターがない常時監視火山は7割以上にもなっている。いまだシェルターがない火山には富士山も含まれている。

 シェルターそのものは技術的に進歩している。防弾チョッキに使われる「アラミド繊維」という特殊な布では、大きさ10センチの噴石が時速300キロで衝突しても貫通しないという。ヘルメットや、ましてリュックをかぶったくらいでは防げない噴石を、シェルターならば防げる可能性がある。

 設置が進まない理由には「過剰な安全対策を取れば危険な印象を持たれかねない」というシェルター反対の地元の観光業界の意見もある。

 現在の火山学では次にどの火山が噴火するか分からない。そのうえ、いつ噴火してもおかしくない火山も多い。悠長なことは言っていられまい。

 かけ声倒れの政府と問題だらけの地元自治体の間で犠牲になるのは、いつも登山者やスキー客や観光客なのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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