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【昭和のことば】ずいぶんと息の長いことば… エッチ(昭和27年)

 ずいぶんと息の長いことばだ。たしかにやや古い感じもするが、いまだに使う機会は多いような気がする。

 発生に関しても諸説あり、戦前から女子学生の「変態」を表す隠語として使用されていたというが定かではない。好色なさまや性行為を指すいまのような使われ方をしたのは昭和27(1952)年頃からとされ、3年後に出版された舟橋聖一著『白い魔魚』の中で用いられたことで広く一般に流行した。テレビ全盛の80年代には、バラエティー番組などで性行為を表すぼやかした言い方として、明石家さんまや島田紳助がさかんに使用し、“そのこと”を指す「カジュアルな言い方」として定着した。

 この年の主な事件は、「新装ピース(たばこ)発売」「琉球中央政府発足」「日航機もく星号、大島三原山に墜落」「NHK『君の名は』放送開始」「第23回メーデーでデモ隊が警官5000人と乱闘(血のメーデー事件)」「羽田空港が米軍より一部返還され、東京国際空港開港」「第4次吉田茂内閣成立」「皇太子明仁親王成年式・立太子礼挙行」など。

 この年の映画は『生きる』(黒澤明監督)、洋画の『風と共に去りぬ』。手塚治虫のマンガ『鉄腕アトム』の連載が雑誌『少年』で始まった。

 「カーンチ、セックスしよ」は、90年代のドラマ『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)から生まれたセリフである。中途半端にぼやかしていた表現を打ち破った言い方が新鮮だった。性行為を扱った隠語はたくさんある。どんな表現を使うのか。センス、品、勢い、相性、場面。「エッチ」に代表される隠語の数々は、実は人間性さえも問われかねないことばなのである。=敬称略(中丸謙一朗)

 〈昭和27(1952)年の流行歌〉 「ああ、モンテンルパの夜は更けて」(渡辺はま子、宇都美清)「テネシー・ワルツ」(江利チエミ)「リンゴ追分」(美空ひばり)

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