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新型肺炎「不安受診」で医療現場“崩壊”危機! 野党・メディアは「検査増やせ」批判するが…軽症者殺到で感染リスク増にも 医師・村中璃子氏が緊急寄稿 (2/2ページ)

 しかし、ちょっと待ってほしい。このニュースは「よかった」と言うだけで終わらせるべき話ではない。大事なのは、女性が必要なタイミングで必要な医療を受けることができたという事実だ。ウイルス性の感染症では「サイトカインストーム」と呼ばれる過剰免疫の状態が起き、若い人でもごくまれに重症化することが知られている。嵐のようにやってきて命を脅かすが、適切な医療で支えてやれば、嵐のように立ち去る。

 市中感染拡大という新局面を迎えた日本で、いま一番大切なのは、「重症者のための医療を確保すること」だ。2009年の新型インフルエンザ流行時も、患者が殺到して医療現場がパンクし、必要な治療を受けられない人が続出した。

 幸い新型インフルエンザの病原性は想定されていたよりもずっと低く、季節性インフルエンザと同程度であったが、新型コロナはまた別だ。無症状でも感染力があり爆発的に広がる新型コロナは、人が集まるところで広がる。軽症者が病院に殺到すれば、医療を崩壊させるだけでなく、感染拡大のきっかけともなる。

 情けは人のためならず。ちょっとした熱や症状なら慌てて受診せず、いま医療を必要としている人のために空けておこう。別の病気なのに不安だけで受診して、もし隣に新型コロナの患者がいれば、本当の感染者となるリスクもある。重症肺炎の際の治療は新型コロナであってもそうでなくても同じだ。4日以上37・5度以上の熱の続くときは迷わず受診を。逆にその要件を満たさない時はフライングで受診しないこと。これが今の自分と、そして万が一の時の自分の両方を守ることになる。

 ■村中璃子(むらなか・りこ) 医師、ジャーナリスト。現在、京都大学医学研究科非常勤講師、ベルンハルトノホト熱帯研究所研究員。世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局で、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザ対策に携わった経験を持つ。科学誌『ネイチャー』ほか主催のジョン・マドックス賞受賞。著書に『10万個の子宮 あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副反応なのか』(平凡社、2017年)。

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