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【日本の元気 山根一眞】新型コロナ対策“司令塔がない”大問題 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスをめぐるパニック状態が続いているが、もやもや感が拭えない。加藤勝信厚生労働相がテレビに「特別出演」し政府の対応を話していたが、違和感がある。大臣は東大経済学部卒後、大蔵省(当時)に入省した元財務官僚だ。議員当選後、厚労省系の委員を務めていたとはいえ、ウイルス感染症に対する国民の不安に適切な発言ができる人なのか。

 国は、ウイルス呼吸器感染症に詳しく、疫学や防疫の経験がある専門家からなる強力な「緊急対策チーム」を組織し、「大きな権限」を与え、「迅速な問題対処」と「国民へのメッセージ発信」も任せるべきだ。内閣の災害対策本部がそれだというなら会見発表を厚労省がすべきではない。

 テレビ報道でこの感染症に対し見解を語っているのは、ごく限られた専門家だ。それぞれは所属大学や研究機関の立場で発言するにとどまっており、「緊急対策チーム」の一員ではない。クルーズ船での対応の評価も専門家によって微妙に異なっており、視聴者は戸惑うばかりだろう。

 昨年の秋、日本に襲来した空前規模の台風19号の際も、どこに権限ある司令塔があり、災害のスペシャリストである誰が災害対応の全指揮をとっていたのか見えなかった。被害状況のとりまとめでも、データがどこに集約されているのかわかりにくく、私は国土交通省や総務省消防庁、気象庁などのサイトを探しまくったが、バラバラだった。つまり、「非常時対策の中心」などなかったのだ(消防庁のデータが最も信頼できたが)。

 今回のコロナウイルスの感染も台風や地震と同じ「災害」だ。大きな経済的損失をもたらしている点も巨大台風や地震と変わりはない。だが、東日本大震災時の大混乱を経験しているにもかかわらず、「大きな権限」をもって「迅速に事態収拾」に当たる「緊急対策チーム」を立ち上げて対処しようという意志がこの国には欠けている。

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