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【日本の元気 山根一眞】高齢者でも「成長する脳」 米医学者が公開した「精神的能力のピーク」 (2/2ページ)

 加齢とともにニューロンは減り続けるが、ニューロン相互の結びつきは拡大する可能性があるという。私はその研究成果を受け、朝長さんと「脳に知的な新鮮な刺激を与え続けていれば、脳は老いてなお成長するのだろう」と語り合ったことが忘れられない。

 朝長さんの研究成果は初期の拙著『生命宇宙への旅』(1984年、主婦の友社刊)に収載したが、同書には59年、アメリカの医学者、J・W・スティルが公開した『人の可能性』の図を紹介している。そのひとつ、「精神的能力のピーク」のグラフでは、通常は60代半ばから「老化退行」が始まるが、80代まで「精神的能力」が上昇を続ける人がいることを示していた。

 なぜ老人なのに、と疑問を抱いていたが、朝長さんの研究成果を聞いて納得。脳は、哲学者のようによく考え、ものごとを積極的に分析するような知的活動をしていれば80歳過ぎでも成長を続けるのだ。

 私は、この研究成果を糧に、常に新しい分野に挑み熟考することを心がけてきた。26年前の朝長さんの研究成果と六十余年前のスティルのグラフは、高齢期を迎えた世代にとって大きな支えと思う。

 ■山根一眞(やまね・かずま) ノンフィクション作家、福井県年縞博物館特別館長。愛地球博愛知県総合プロデューサーなど多くの博覧祭も手がけてきた。近刊は『理化学研究所 100年目の巨大研究機関』『スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち』。「山根一眞の科学者を訪ねて三千里」(講談社)を連載中。理化学研究所名誉相談役、JAXA客員、福井県交流文化顧問、獨協大学非常勤講師、日本文藝家協会会員。

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