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【日本の元気 山根一眞】米国で死者2万人超…新型コロナより怖いインフルエンザ (2/2ページ)

 09年の新型インフルエンザの流行のように、このウイルスは豚や鳥の体内に長年潜み、何らかの契機に強毒性を身につけて攻撃へと出てくることがわかっている。09年のウイルスにはスペイン風邪のウイルスと同じ遺伝子が組み込まれていたため世界はパニック状態に陥ったが、同じ遺伝子を組み込んだ新たな強毒性ウイルスが出てくれば、世界は新型コロナどころではない混乱に陥るだろう。

 先に紹介したインフルエンザウイルスの研究者、根路銘(ねろめ)国昭さんによれば、「インフルエンザが大流行すると、同じ冬季に、おもに乳幼児の気管支炎や肺炎の原因であるRSウイルス感染症など呼吸器のウイルス感染症が消える」(その研究成果は2000年に論文が出ている)。「CDCやWHOの情報発信は、インフルエンザウイルスがコロナウイルスを駆逐し、インフルエンザの感染が拡大する危機への監視に力を入れている証しでしょう」(根路銘さん)

 ところで09年の新型インフルエンザの世界的感染を契機に構築されたのが、感染者をいち早く発見し、そのウイルス情報を世界が迅速に共有するためのネットワークとデータベースだった。実は、新型コロナの感染拡大でも、このインフルエンザ監視・対策のネットワークが大きな貢献をしているのである。

 新型コロナはパンデミック(世界的流行)とされたが、インフルエンザの専門家が、新型インフルエンザのパンデミックでは、日本だけでも3000万人が感染する、と警告していることを肝に銘じておきたい。

 ■山根一眞(やまね・かずま) ノンフィクション作家、福井県年縞博物館特別館長。愛地球博愛知県総合プロデューサーなど多くの博覧祭も手がけてきた。近刊は『理化学研究所 100年目の巨大研究機関』『スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち』。「山根一眞の科学者を訪ねて三千里」(講談社)を連載中。理化学研究所名誉相談役、JAXA客員、福井県交流文化顧問、獨協大学非常勤講師、日本文藝家協会会員。

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