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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】大地震でも行われる「患者の選別」 医療の原則は「すべての患者を救う」ことだが… (1/2ページ)

 イタリアで、「患者の選別」を行わざるを得なくなっている。同国では新型コロナウイルスによる死者が6000人を超えて世界最多となった。

 最も感染が深刻な北部のロンバルディア州では病院がパンク状態になった。限られた人工呼吸器を誰に装着するか決めねばならないので、80歳以上で呼吸器に問題がある患者なら措置はしない状態だ。つまり死を待つだけの患者が増えているのだ。

 だが、この患者の選別(トリアージ)は日本にとってひとごとではない。大規模地震や航空機事故が起きたときなど、医療現場の手に余るほどのけが人が出たときに、治療の前に、負傷者をあらかじめ仕分けする仕組みがすでにできているのだ。たとえば東京消防庁では、実際に使用されるトリアージ・タグが用意されている。

 地震でけがをして病院に運び込まれた自分を想像してほしい。けが人が、固い床に並べられている。うめき声を上げたり、出血が止まらない者も多い。倒壊した家から救出されたのか、手足が紫色になって壊死(えし)しかかっている負傷者も見える。

 そこに係官がやってきて、表情を押し殺したまま、負傷者の右手首に、次々にタグをつけていく。意識が薄れていきながらも、せめて治療の必要があるタグを付けてくれ、黒いタグだけは付けないでくれ、黒いタグを付けられたら死を待つだけだ、と必死に赤や黄色のタグを願っている自分を想像してほしい。

 黒は直ちに処置を行っても明らかに救命が不可能な者。赤は「優先治療群」で生命に関わる重篤な状態で一刻も早い処置をすべき者。黄は「待機的治療群」で赤ほどではないが、早期に処置をすべき者だ。

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