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【高橋洋一 日本の解き方】東京五輪「延期決定」の政治力学 欧米の感染状況悪化を背景に…G7首脳巻き込んだ安倍首相の絶妙外交 (2/2ページ)

 欧米での感染悪化の中で、トランプ米大統領が1年延期発言を行い、先進7カ国(G7)首脳のテレビ会談で、安倍晋三首相が「完全な形」での東京五輪について各国首脳の合意を取り付け、中止ではなく延期に道筋を付けたのもよかった。

 筆者は7月開催が危ういという予測をした当時から、最悪は中止で延期がベストなので、水面下で交渉しているはずだと言っていた。おそらくそうだったのだろう。

 IOCとしても、4年に1度の大イベントを中止するのは痛いはずだ。なので、水面下では、テレビ放映料を確保できる無観客試合を含めてさまざまな形態を考えていたはずだ。それが、安倍首相の「完全な形」発言で、延期に傾いた。もっとも、数カ月ずらして今年秋というのは、各種スポーツイベントが既に予定されているので実務上不可能だ。かといって、2年先になると一からやり直すのと同じであり、これはかなりの手間になる。1年延期は、会場確保などの実務面を考えても、最小費用の選択肢だ。

 1年延期は、五輪憲章にも関わる話なので、事務的に考えると実現は容易ではなかった。しかし、安倍首相がトランプ大統領との信頼関係を元に各国首脳を巻き込み、政治的にうまく仕留めたものだ。

 欧米各国の感染状況もにらんで、絶妙のタイミングでトランプ氏の1年延期表明や、G7のテレビ会談を設定した日本外交は絶妙だった。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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