記事詳細

【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「忍」》ビールの街灯

 道行く人たちの頭上に並ぶ黄色い街灯。よく見ると、乾杯するビールのジョッキの形をしている。

 東京都渋谷区のJR恵比寿駅東口にある「恵比寿ビール坂商店会」。約70店舗が加盟する商店地区をぐるりと囲むように、乾杯するジョッキ形の街灯が85本並ぶ。

 明治22年に恵比寿にビール工場が誕生した。現在は恵比寿ガーデンプレイスが建つ場所だ。商店会の位置にあたる工場の北側の土地は、ビール製造会社(現在のサッポロビール)の敷地だった。

 辺り一帯はビール樽や物資を運ぶ運送会社が並んでいた街だった。運送会社といっても、明治時代は馬車。馬や牛が多く飼育されていたらしい。

 馬車がさらに北側の明治通りまで出るのに使われていた坂道が「ビール坂」と呼ばれた。ビール坂商店会の会長は「当時を知る人は、ここまでビールの匂いが漂ってきたと言ったそうです」と話した。

 街路灯は3年前のLED化に伴い、街の歴史を表現したデザインに一新。商店会の名称も「恵成(けいせい)商店会」から「恵比寿ビール坂商店会」とユニークなものに。前身の「恵成商店会」は約30年前、百貨店などが入る恵比寿ガーデンプレイス開業の際、「商店街がシャッター街になってしまう」と反対するため結成されたものだった。

 街灯には、ビールを運ぶ馬車がついていたりと斬新。商店会にある印刷屋の若い社員がデザインを起こした。地元からは「街が明るくなった」という声や、昼間はオレンジ色のジョッキに見えるるので、子供から「オレンジジュースみたい」と評判は上々という。

 ビール工場とともに歩んできた街の歴史は、次世代にしっかり受け継がれているようだ。(水)

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。4月のお題は「忍」です。