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【有本香の以読制毒】米英独など8カ国が“対中報復”開始! 死者数ベトナム戦争上回り…独裁中国へ米国民の怒り 一方で日本政界の異様ぶり (3/3ページ)

 とりわけ、国際メディアの注目を集めたのは、米国ミズーリ州による提訴だ。州の当局が他国政府や指導部を提訴するというのは、米国史上初の事態である。

 8カ国が中国政府に求めている賠償額総計は約49兆5000億米ドル(約5300兆円)、これにミズーリ州の推定賠償請求額を加えると100兆ドル(約1京1000兆円)を上回り、中国のGDP(国内総生産)7年分に相当する額に達すると香港メディアは伝えているが、額よりもむしろ重要なのは、米国人の怒りの表明だ。

 法曹関係者からはむろん、ミズーリ州の訴訟は非現実的だとの意見が出ている。しかし、そんなことは百も承知の上で、ミズーリ州のエリック・シュミット司法長官は提訴に踏み切った。これは隠蔽と人権蹂躙(じゅうりん)を続ける中国の独裁政権に対し、「価値観戦争」の布告状をたたきつけたに等しい行為だといえる。

 こうした世界の流れに、日本から乗ろうとする政界関係者は皆無だ。足の引っ張り合いと陳腐なパフォーマンスに終止する永田町の面々、そして、2月頃には、のうのうとマスクや防護服を中国へ送って悦に入っていた地方の首長らに、シュミット長官らの爪の垢(あか)でも煎じて飲ませたい気分である。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

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