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【勝負師たちの系譜】3局のうち1勝で昇段というチャンスを3連敗…恐怖心が生むプレッシャー (2/2ページ)

 後で聞いたら昇級の一番を6回負け、今日負けたら退会するつもりだったから、投了できなかったとのこと。結局彼は四段になったから、私は棋士を1人誕生させたことになる。

 ボーっとした頭で指した次の将棋は、上手が先手なのに香落ち下手番を先に指して、一手で負け。私は2局かつ、2手連続反則負けという空前絶後? の記録を打ち立てたことになった。

 三段になったら塾生を辞められるという約束があったせいか、三段になる時も、3局のうち1勝で昇段というチャンスを3連敗したことがある。

 自分はチャンスに弱いタイプと自覚していたが、棋士になった後は一度も昇級の一番を負けたことはない。いかに棋士になれないかもという恐怖心が、プレッシャーを生むのかを、思い知った次第である。

 ■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

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