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実録!「工藤会」壊滅“頂上作戦” 「トップを殺人容疑で逮捕した」異例中の異例だった本部長の会見 福岡県警から探る暴力団根絶 (1/3ページ)

 市民を巻き込む恐れのある暴力団などピラミッド型の組織犯罪。根絶に向けては、トップを摘発して組織を弱体化させられるかどうかが鍵となる。関係者からの詳細な供述の収集、法を駆使した綿密な捜査プラン、そして相手の裏をかくような情報操作。検察との連携も不可欠だ。凶悪事件を重ねた「工藤会」に挑む福岡県警の動きを検証し、捜査の在り方を探る。

 2014年9月11日。福岡県警は全国で唯一、暴力団対策法の特定危険指定暴力団となった「工藤会」(北九州市)の壊滅を目指す「頂上作戦」に着手した。ターゲットは総裁の野村悟(73)とナンバー2の会長、田上不美夫(63)。容疑は1998年に起きた元漁協組合長の殺害だった。

 午前4時20分。野村の自宅で組員らの車の出入りが激しくなった。午前5時。小倉北署の会議室に設けた「L1」(指揮本部)に1本の報告が入る。「野村を職質した? うそやろ」。暴力団対策副部長、一瀬裕文(60)の声がうわずった。

 同市八幡東区の路上で午前4時半ごろ、着手を知らされていない交番の警察官が偶然、職務質問のためベンツを止めたという。運転者は組織の金庫番とされた幹部。パジャマ姿の野村が同乗していた。幹部は「腹痛で病院に搬送中だ」と説明し、走り去ってしまった。警察の動きが事前に察知され、車の出入りに乗じて外に出たところ、職質された可能性があった。

 最高幹部2人の自宅付近には機動隊員や捜査員ら約250人がすでに待機していた。午前6時46分、家宅捜索が始まる。野村の所在は不明のまま。だが無線が野村の逮捕を伝えた。「令状執行。7時21分。小倉北署に引致する」。職質を受けた後、なぜか自宅に戻っていた。一方で会長の田上には逃げられた。沈痛な面持ちの捜査幹部たち。が、L1に現れた県警本部長の樋口真人(62)は言った。

 「百点満点!。トップを捕まえたら百点だ」

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