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「無慈悲に処刑してやる」金正恩妹の号令一下、北朝鮮が脱北者に宣言 (2/2ページ)

 もちろん、北朝鮮がビラ散布に反発するのも以前からのことではあるが、国内向けのメディアで大々的に扱うのは、ほかの目的もあるように感じられる。

 まず考えられるのが、金与正氏の権威を高める狙いだ。金正恩氏の身辺に何らかの異変が生じたとき、体制を継ぐのは金与正氏であろうとの分析は、すでに少なからず出ている。しかし、男性本位の色濃い北朝鮮社会で、しかも若年の女性が最高指導者として受け入れられるのは簡単ではないと見られる。そのため、金正恩氏は今回のような機会を捉え、金与正氏の権威付けを継続的に行っていくつもりなのではないだろうか。

 そして次に、脱北者の孤立化だ。4月後半に金正恩氏の健康異変説が出回った際、韓国の国会議員選挙で当選したばかりの脱北者たちが、金正恩氏の状態について大きく誤った情報を流したことで、世論から強い非難を浴びた。北朝鮮当局としては、何ら手段を講じずに、「反逆者」である脱北者の政治的パワーを弱めることができた。そこで、文在寅政権下での脱北者たちの立場の弱さを見て取り、この機に一気に孤立させようとしているのではないか。

 実際に韓国では金与正氏の談話を受け、青瓦台(大統領府)や与党を中心に、ビラ散布を規制しようとの動きが見られる。国際人権団体は、規制の動きを非難しているが、文在寅政権が気にかける様子はない。

 このまま本当にビラ散布が規制されたら、それは金与正氏の大きな実績となり、金正恩氏は複数の狙いを同時に達成することになるかもしれない。

デイリーNKジャパン

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