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【日本の元気 山根一眞】ロンドン・ペスト記した祖父の絵ハガキの教え 数日前、実家の遺品から発見 (1/2ページ)

 「死亡週報・8月22日~9月26日・3万8195人」

 およそ1カ月間に4万人近い死者が出たというこの記録は、1665年(江戸前期の寛文6年)、ロンドンを見舞った流行病・ペスト最盛期の記録だ。

 書いたのは『ロビンソン・クルーソー』の著者、D・デフォー(1722年刊)だ。この本、新型コロナウイルス感染症の世界拡散でにわかに注目され、日本語訳(中公文庫『ペスト』)はずっと入手難だったが、最近、増刷したようで、今は入手可能だ。

 同じ翻訳書である『ロンドン・ペストの恐怖』(小学館)は栗本慎一郎さんが訳者で、こちらはちょっとドラマ仕立ての訳だ(定価1300円だがアマゾンで3800円から3万円で売っている輩がいるので要注意)。

 内容はノンフィクションだが小説仕立てで、正確な史実かはわからない。私にとっても、ロンドン・ペストについて手にできる資料はこの本だけだったが、数日前にびっくりするものを手にした。

 父が亡くなって18年になるが、実家には膨大な数の蔵書や書類がまだぎっしり遺ったままだ。その遺品の整理を進めていたら、錆びついた缶からロンドンとドイツの古い絵はがきがごっそり出てきた。1000枚はありそうだ。

 絵はがきのコレクションではなく、すべてロンドンに赴任中の祖父(1880-1944)が妻(祖母)あてに書き送ったロンドン報告だった。当時、司法省(現・法務省)の高級官僚だった祖父は12カ国語に精通していたからだろう、第一次世界大戦の国際裁判のため数年間、外交官としてロンドンに赴任していた。その祖父が記した絵はがきの一番上の1枚を手にとったところ、こんな書き出しだった。

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