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【勝負師たちの系譜】田中角栄元首相「俺に勝ったら選挙資金やる」 山東議長を相手に有段の力 (2/2ページ)

 何回か行くうちに突然、「今日は親父さん(田中元首相)が将棋を指したいというから、来てくれないか」と言われて行ったのが、砂防会館の事務所だった。

 さすがに緊張はしたが、部屋に入ると「おう、よく来てくれた」という気さくな感じで、将棋が始まった。

 平手で指した将棋は、いきなり升田式三間飛車からガンガン攻めてきた。この時はアマ二段レベルに落として指すことにしたら、攻め崩され、何とか反撃したものの一手負け。十分有段の力がある。

 もう1局指して指し分けで終わったが、升田将棋が好きだという理由が、わかった気がした。

 周りで大勢の方が観戦していたが、若年の私にも、後に首相となった代議士より、金庫番と言われた女史の方が貫禄あったのを覚えている。

 山東議長も強く、元首相に「俺に勝ったら選挙資金をやる」と言われ、芹沢九段に教わって挑んだが、一手違いで敗れたと言って笑っていた。

 ■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

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