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【富坂聰 真・人民日報】“ボルトン砲”のリアルが吹き飛ばす日本人の“甘え” 浮かび上がる米中関係と日本の立場 (2/2ページ)

 もちろん米国のトップが自分に利益のないアジアの話題に関心を示すと考えること自体、日本人の甘さであり、トランプ大統領に失望するなど筋違いだ。

 ボルトン氏が著書の中で記した「私益と公益の区別ができない」とのトランプ批判は、別にトランプ大統領だけに当てはまる問題ではない。民主選挙をかかえる国の政治家ならば共有しているアキレス腱なのだ。

 だからこそ中国は私益でくすぐり国益を譲歩させるディールができたのだが、その半面、一度「中国叩き」が票になるとなれば、罪をでっちあげても攻撃を繰り返す米国と向き合わざるを得ない。中国が繰り返す「政治屋」批判は、まさにボルトン砲とも重なる。

 日本には尖閣問題などで「米国が中国を罰してくれる」との淡い期待があるのだが、もしそうなったとしてもそこにあるのは米政権と米国の勝利であって日本の勝利ではない。この他力本願は、日本が自らの問題に自ら中国と向き合う機会を奪っている。

 ボルトン氏の暴露本が突き付けるリアルが日本人の甘えを吹きとばしてくれるかもしれない。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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