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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】桜島で火山噴石3キロ飛ぶ 民家の屋根に大きな穴が開いたのに…気象庁は噴火警戒レベルをなぜ引き上げないのか (2/2ページ)

 この気象庁の決定には、研究者や気象庁のOBから批判が相次いだ。気象庁は見逃しを認めたくないために基準をねじ曲げたとしか言えまい。火山山麓の住民の安全よりは自分たちのメンツにこだわる気象庁の体質なのではないかというわけだ。

 さすがに気象庁も、これらの批判を受けて、噴火から8日後の6月12日になって「噴石が1つでも飛散とみなし、今回の噴火で、噴火直後に噴石を確認できていればレベル5に引き上げていた」とそれまでの説明を修正した。

 桜島では住民の避難が必要な「レベル5」にあたる事態だったが、実際には5に引き上げられることはなかった。レベル5へ引き上げられれば桜島では初めてになる。

 2007年に噴火警戒レベルが導入されてから13年。導入以降に起きた噴火では、広範囲に火山灰が降った2011年の南九州・新燃岳、死者・行方不明者が63人にのぼった14年の御嶽山、住民が船で島外へ避難した15年の鹿児島・口永良部島、スキー場で訓練中だった自衛隊員が噴石に当たって亡くなった18年の群馬・草津白根山。いずれも噴火のあとで、警戒レベルが引き上げられたものだ。

 桜島ではレベルの決定に問題を起こした。だが一般に、噴火警戒レベルは「予知」情報とはとても言えず、「現段階での防災情報」にすぎないのを火山付近に住む住民は心すべきなのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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