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【日本の元気 山根一眞】7万年分の環境を知る“シマシマ年縞” 長野県松本市で公開中 (1/2ページ)

 コロナ禍で休館していた福井県年縞(ねんこう)博物館(若狭町)は5月11日に再び開館にこぎ着けた。もっとも私(特別館長を務めています)は感染者が多い東京在住ゆえ福井入りはできず、ずっと「謹慎」状態だった。やっと今週末、数カ月ぶりに若狭町を訪ねることができ、わくわくしています。

 年縞博物館は2018年秋の開館後、想定数を上回る来館者が続いていたが、「年縞って何?」という人がまだ少なくない。

 博物館に近い三方五湖(みかたごこ)のひとつ、水月湖(すいげつこ)の湖底下に7万年以上におよぶ泥が堆積していた。その堆積層はきれいな「縞」をなしており、その縞が1年の欠けもなく7万年分続いていたのだ(深さ45メートル)。

 1年分の縞の厚さは約0・7ミリ。花粉やプランクトンの化石、火山灰、黄砂などが含まれており、それらを解析すればその年の環境を知ることができる。このシマシマが年縞だ。

 水月湖の年縞なら「一人の縄文人が経験した一生のできごとが1年刻みでわかる」という専門家もいるほどだ。7万年は、人類=ホモサピエンスの歩みとも一致するので、年縞は人類史の正確なモノサシにもなる。こういう年縞は世界でも水月湖のみで、奇跡の湖と呼ばれるゆえんだ。

 国際チームによってこの年縞に含まれる放射性炭素の量が測定されたことで、水月湖の年縞は世界のあらゆる発掘物の年代を決める世界標準のモノサシにも採用。過去7万年の世界の歴史は、水月湖の年縞で決まる。これは日本人にとって大きな誇りでもあることから、福井県は発掘した45メートルの年縞をすべて展示する年縞博物館を開館したのである。

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