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【高橋洋一 日本の解き方】民主党政権が掲げた「コンクリートから人へ」に踊った報道と流された国民 “脱ダム行政”の検証が必要だ (1/2ページ)

 熊本県の水害では、川辺川ダムが建設中止となったことが焦点となった。昨年の台風19号では八ッ場(やんば)ダムの存在も話題になったが、民主党政権が掲げた「コンクリートから人へ」の功罪はどうだったのか。

 今から約11年前、2009年8月30日の衆院選挙で民主党政権が誕生した。公約の中に「コンクリートから人へ」があり、そのシンボルだったのが「東の八ッ場ダム、西の川辺川ダムの中止」だった。

 その当時、筆者はこの中止に反対の立場から、いくつかの書籍や論考を発表した。単に政治思想から反対したのではなく、サンクコスト(埋没費用)による意思決定理論から論じたものだ。

 サンクコストとは、経済学でよく使われる概念で、それまで投入したコストは度外視して考えるというものだ。公共投資に則して言えば、完成までに要するコストと完成後の便益を比較し、便益が勝るときには工事継続、便益が劣るときには工事中止となる。この理論からみれば、完成間近だと、工事中止はもったいないということになる。当たり前の話を定量化しているだけだ。

 八ッ場ダムも川辺川ダムも、どのように計算しても、工事中止という結論は出てこない、と筆者は書いた。この考え方は今も同じである。しかし、当時は政権交代の熱気があり、一部のマスコミは、八ッ場ダムと川辺川ダム中止を熱心に支持していた。なお、筆者は工事続行の場合、今の建設国債発行の他にも、ダムによる収益を返済財源とする「レベニューボンド(事業目的別歳入債券)」の方式も提案していた。この方式なら、公共事業の採算可能性について、資金の出し手もチェックするので、採算性がよりまともに検討されるメリットもある。

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