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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】噴火しなくても…火山ガスが引き起こす殺人 (1/2ページ)

 噴火しなくても火山は人を殺す。火山ガスである。有毒な火山ガスが日常的に出ている火山は、日本で60以上もある。

 温泉は冷水を火山ガスで温めているものが多い。たとえば群馬・草津白根山では、沢の水をためた水槽に火山ガスを入れて温泉にしている。だが1971年に、水が飽和して多量の火山ガスが溢れ出し、谷にあるスキーコースに滞留して6人が犠牲になった。

 現場に慣れているはずの温泉業者でも事故に遭う。2015年には秋田・乳頭温泉で3人が死亡した。作業が終わった業者が荷物を取りに帰った林の中の窪地に滞留していた火山ガスで命を落とした。

 これらはいずれも火山が噴火していないときの事故だったが、噴火しているときは、もちろん危険だ。

 伊豆諸島・三宅島が2000年に噴火したときには大量の有害ガス、二酸化硫黄が出てきた。その量は1日に20万トン。これは日本のすべての火山から出る二酸化硫黄の30倍以上にもなる。人体の許容限度2ppm(パーツ・パー・ミリオン)を島中で超えてしまうために全島避難になった。

 噴出量が1日に1000~2000トンに下がったので4年半後に場所によって帰島が解除されたが、いまでも1日数百トンが噴出している。

 一方、二酸化炭素による事故もある。1997年青森・八甲田山麓で起きた。これは夜間訓練中の自衛隊員3人が高濃度のガスが滞留していた深さ約8メートルの穴に入って犠牲になったものだ。二酸化炭素ガスは空気より重く、死に至る高濃度でも無色無臭だから気がつかないことが多い。

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