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駆除イノシシ、丸ごと餌に…肉食動物に野生で狩りする感覚 「屠体給餌」国内動物園で取り組み広がる (1/2ページ)

 国内の動物園で、農作物被害防止のため駆除されたイノシシなどを丸ごと餌として与える「屠体給餌(とたいきゅうじ)」の取り組みが広がっている。肉食動物にとって、野生で狩りをする感覚を取り戻し、ストレスを軽減する効果が注目される。捕獲動物の廃棄を減らし、獣害問題について広く考えてもらう狙いもあり、支援団体、ジビエ業者といった幅広い連携が生まれている。

 「1頭が立ち上がってイノシシに食いつくと、もう1頭も負けじとうなり声を上げて手を伸ばした」。茨城県日立市のかみね動物園は2月、雌のエゾヒグマ「アイ」と「エリコ」の食事として、駆除されたイノシシを与える企画を開催。飼育員の山下裕也さん(29)は、普段見ない2頭の生き生きした姿に驚いた。

 山下さんによると、野生のヒグマは餌を探して何時間も歩き、仕留めた動物の毛皮をはいだり肉をかみ切ったりと主要な活動を食事関連の時間に費やす。一方、決まった時間と量で餌が提供される動物園では、退屈な時間が長くストレスにつながりやすいため、屠体給餌を試した。

 「残酷な行いではなく、動物のためを考えた取り組みということを伝えたい」と、来場者向けの解説や資料を準備。当日、肉片を鼻先で転がし楽しげに食事する2頭の様子を、多くの見学者が真剣に見守った。「動物にとって貴重な機会と分かった」「説明が丁寧で、子供も怖がらず意味を理解できた」。終了後のアンケートは好意的な感想が並んだ。

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