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【編集局から】「御巣鷹山」体験者しか書けない貴重な記録 元陸上幕僚長の特別手記

 夕刊フジの大好評“辛口”コラム「天下の暴論」の花田紀凱(かずよし)氏が、産経新聞土曜日付で連載している「週刊誌ウオッチング」を毎週楽しみにしている。

 先週は週刊新潮に掲載された岡部俊哉元陸上幕僚長の特別手記「あの悲劇から35年 遺体の山から生存者救助! 『御巣鷹山』48時間の地獄絵図」を激賞していた。

 ご遺体の収容や、その時の思いを描いた岡部氏の墜落現場からの報告は、体験した人間しか書けない貴重な記録と評価していた。

 <(平常勤務に戻った後も)就寝中にふと窓に目をやると、ベランダにたくさんの人が並んで私を見ているのです。(中略)現場で我々が後送に関わったご遺体のお姿そのものでした>

 私事だが、幼稚園に入る前のある夏の日、隣に住んでいたとても優しかったおじさんが、東京のトンネル落盤事故で亡くなった。家族でお昼を取りながらNHKニュースを見ていたら、突然飛び込んできたのを覚えている。

 その夜。私より少し年上だったと思うが、おじさんの娘さんが裏庭から戻ってきて、「向こうから火の玉が飛んできて、うちの上で何回か回って消えたよ」と口にした。遺体はまだ帰ってきていなかったが、葬式の準備をしていた大人たちは驚きもせず、「お父さんが、やっと戻って来たね」と慰めた。夢かうつつか、いまだに分からない。

 半世紀以上も前の話だが、この季節になると、なぜかふと思い出す。 (光)