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【ぴいぷる】「記憶の解凍」プロジェクト・庭田杏珠 戦前・戦中のモノクロ写真をAIによりカラー化、資料や対話で色補正 (1/3ページ)

 ひとりの少女の“伝えたい”想いが、心を揺さぶる作品につながった。『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』(光文社新書)は、戦前から戦後にかけてのモノクロ写真をAI(人工知能)によってカラー化したあと、資料や対話にもとづく色補正(人の力)を施し、「記憶の色」をよみがえらせたものだ。

 戦争は悲惨なもの。けれど伝えたいのは惨状だけではなく、戦前には今と変わらない“普通”の生活があったこと。広島県生まれ。小学校低学年のころは平和教育があまり得意ではなかったが、5年生のとき、心が変わる出来事があった。

 「平和記念公園のフィールドワークで使用したパンフレットに、今の平和公園と、被爆前の同じ場所の写真が載っていました。平和公園になっている場所はかつて、中島地区として4400人が住んでいる繁華街でした。その街並みが原子爆弾の投下ですべて消え去ってしまった…。何かを伝えたい思いが生まれました」

 中学に入り出合ったのが、東京大学大学院の渡邉英徳教授が2011年に立ち上げた「ヒロシマ・アーカイブ」。戦禍に見舞われた広島の膨大な資料を、テクノロジーとアートにより伝え残していくプロジェクトだ。

 「歴史の新しい伝え方に感銘を受け、私もアーカイブの制作に携わり、戦争体験者の方のいろいろな証言を収録したいと思いました。そして高校1年の6月に平和公園で偶然、濱井徳三さんと出会ったんです」

 濱井さん一家は中島地区で理髪館を営んでいたが、疎開していた濱井さん以外の家族が原爆によって命を落としてしまった悲しい過去がある。証言を収録したのは10月。

 「大切に残されていたご家族との写真を見ながら、お話を伺いました。そのとき、6月の渡邉教授のワークショップで戦前の沖縄をカラー化した写真を見て、遠かった歴史が身近に感じられたことを思いだしました。ご家族の写真もカラー化したら、きっと喜んでもらえるはずだと」

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