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韓国で医師のストが泥沼化 文政権への不信が背景

 【ソウル=桜井紀雄】韓国で新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、大学病院で働く研修医らのストライキが31日で開始から10日を過ぎるなど長期化している。医大の定員増などを性急に進めようとする文在寅(ムン・ジェイン)政権への不信感が背景にあるが、医大生らが一斉に医師の国家試験のボイコットに出たため、政府が31日、1日に予定していた試験の1週間延期を決めるなど、影響が広がっている。

 研修医らが撤回を要求しているのは、医大の定員増や、公共医大を開設し、学費などを奨学金で賄う代わりに10年間、地方での勤務を義務付ける制度などの導入だ。首都圏との医療格差を減らすのが狙いだが、学生の選抜に市民団体を加える案が明らかにされると、一層反発が強まった。

 ●(=恵の心を日に)国(チョ・グク)前法相の娘の医大大学院への不正入学疑惑が昨年、注目を集めただけに、政権寄りの団体が関与すれば、「公正性に問題がある」(研修医団体)と受け止めたのだ。政府はスト参加者に職場への復帰命令を出し、処罰も辞さない強硬措置に出たが、研修医側も一斉に退職届を提出する強硬姿勢で応じている。

 研修医側は、救急治療や新型コロナ対応には影響が出ないよう努力していると説明するが、大学病院では外来診療の縮小や手術の先送り、教授が夜間当直をこなすなどの弊害が生じている。文大統領は「消防隊員が火災の前でストをするのと変わりない」と批判。国民の間でもストへの冷ややかな見方が広まっている。 (産経新聞)