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【昭和のことば】おとなの社会にまで広まった「仮面ライダー」の掛け声 へん・しん(変身)(昭和46年)

 ご存知、『仮面ライダー』(石ノ森章太郎原作・NETテレビ放映)である。この年、藤岡弘、演じる仮面ライダー1号が大人気。腕をクロスさせながら「へん・しん」の掛け声、「とーっ!」と言いながら塀や土手から飛び降りる「変身ごっこ」が子供たちの間ではやった。

 おもちゃの変身ベルトや「仮面ライダースナック」(カルビー製菓)なども大人気となり、付属の怪人カードほしさに大量買いをし、スナック自体を捨ててしまう現象が目立ち、一部で社会問題化していた。高度経済成長の隙間に生まれた「変身願望」というのは後付けの理屈だが、おとなの社会にまでその流行語は広まった。

 この年の主な事件は、「第一勧業銀行発足、預金高全国1位へ」「天皇・皇后両陛下、初めての広島原爆慰霊碑参拝」「横綱大鵬引退」「連続女性誘拐殺人事件容疑者・大久保清逮捕」「沖縄返還協定調印」など。

 本は大岡昇平『レイテ戦記』、高野悦子『二十歳の原点』。映画は『儀式』(大島渚監督)、『沈黙』(遠藤周作原作、篠田正浩監督)。テレビでは『スター誕生』が人気。巷では中山律子ら女子プロボウラーが空前のブームとなっていた。

 ヒーローモノ、戦隊モノのまさに先駆けのような存在だった。ジャンルとしての新しさがあったし、次々と生まれる斬新な怪人や身体をはった撮影シーンなど、製作者側のおとなたち自体が熱狂していた。「ツッコミ」で茶化したり、楽屋ばらしをしたりしだす前の、まだ、テレビ(を見る側も作る側も)の「うぶ」な時代であったと言える。その後も、この「へんしん」シリーズはさまざまな変化を遂げながらも、一種の様式美として40年近くも続いているのがおもしろい。 =敬称略

  (中丸謙一朗)

 〈昭和46(1971)年の流行歌〉 「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)「わたしの城下町」(小柳ルミ子)「出発(たびだち)の歌」(上條恒彦と六文銭)

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