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【昭和のことば】商品過剰の時代に「新しいライフスタイル」提案 おいしい生活(昭和57年)

 この年の西武百貨店CMコピー。前年の「不思議、大好き」に続いて、糸井重里の作である。商品が過剰になりつつある時代の戦略として、新しいライフスタイルを提案するかたちで販売を引っ張った。

 この頃から、デザイナー、カメラマン、ハウスマヌカンなどの、いわゆる「カタカナ職業」がはやり、好き嫌いをいとわない、感覚的なものを貪欲に追い求めるなど、「感性」ということばがもてはやされた。時代はまだバブル景気前ではあるが、そういう意味では、あの「供宴」の下準備は、この頃からなされていたように思う。

 この年の主な事件は、「東京・赤坂の『ホテル・ニュージャパン』で火災発生」「日航機、羽田着陸寸前に海面墜落」「500円硬貨発行」「IBM産業スパイ事件」「東北新幹線、大宮-盛岡間開業。上越新幹線、大宮-新潟間開業」「国鉄リニアモーターカー、世界初の有人浮上走行に成功」「三越取締役会で岡田茂社長を解任」「パンダのフェイフェイ、上野動物園に到着」「第1次中曽根康弘内閣成立」など。

 岡本綾子がゴルフ米公式ツアー優勝。中・高校の卒業式への警官関与が1528校、校内暴力の嵐が全国の学校に吹き荒れた。

 これらCMの大ヒットで、コピーライターは一気に花形職業となった。西武百貨店、パルコ、躍進するいくつものアパレルブランド、おしゃれなファッション系雑誌、感性を刺激する広告の数々。一時代を担っていたぶん、30年後の現在、大きな転換を余儀なくされている会社も多い。「感性」はもういらない? なんといってもコスパ! 役に立つもの以外は無意味? 時代の「感性」は移ろいやすい。=敬称略(中丸謙一朗)

 〈昭和57(1982)年の流行歌〉 「北酒場」(細川たかし)「聖母たちのララバイ」(岩崎宏美)「待つわ」(あみん)

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