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【東日本大震災から9年半 忘れない、立ち止まらない】いまなお、復旧の途上にある陸前高田市 ロッテ・佐々木朗希は住民の誇り「おらたちも負けられない」 (2/2ページ)

 しかし、「子供に好きなことを諦めてほしくない」と保護者や指導者、支援者らが近隣の運動施設への送迎や、練習試合のセッティングに協力。地域住民も土地を提供して仮設グラウンドを造るなど、少しでも不便を解消してあげたいと一丸になってきた。

 そういう状況を経てきたからこそ、「よく頑張ってくれた」という住民の思いは深く、佐々木投手の活躍に「おらたちも負けられない」と励まされるのだ。

 運動公園の整備に携わった陸前高田市役所のある部長は、当時小学生だった佐々木投手と同じ町内に住んでいたという。町内会は壊滅的な被害を受け、解散した。

 部長は、「あの球場はね、野球が好きだった友人を思いながら整備したんです」と教えてくれた。

 先日、記者仲間ら数人でこの高田松原球場を借りた。昔の球場には高校時代、憧れていた先輩の試合を見に行った甘酸っぱい思い出がある。

 足元の芝は青く光り、すぐそばに海の気配がした。マウンドに立って空を見上げる。「ようやくここまで…」。口にしたあとは、言葉にならなかった。

 環境はようやく整った。

 第二の佐々木朗希は、きっとここから巣立っていくのだろう。

 ■鈴木英里(すずき・えり) 1979年、岩手県生まれ。立教大卒。東京の出版社勤務ののち、2007年、大船渡市・陸前高田市・住田町を販売エリアとする地域紙「東海新報」社に入社。震災後、記者として9年間、被害の甚大だった陸前高田市を担当。現在、同社社長。

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