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【高橋洋一 日本の解き方】尖閣諸島の漁船衝突から10年 国益を損ねた船長の釈放指示…最悪だった民主党政権の対応 (2/2ページ)

 その当時から、地検が首相の不在中に外交判断をするはずがなく、菅元首相の指示があったとの見方があり、今回の前原証言でそれが確かめられたと筆者は思っている。

 民主党の政権基盤が脆弱で、特に党代表選や内閣改造の対応で政治判断をやりにくい状況を中国は狙い、尖閣の領有権に関する主張を認めさせるために漁船衝突を仕掛けたと筆者は当時から考えていた。実際、船長らの即時釈放の要求でも中国の領有権を根拠としていた。

 当時の民主党政権は最悪な対応だった。中国が不当な根拠による要求をエスカレートさせるにつれて、結果として要求を認めてしまったからだ。トップの菅元首相まで、まんまと中国の策略にはまってしまった。

 これ以降、中国としては、自国の尖閣領有権を日本が認めて要求通りに船長を釈放したのだから、中国船の進行を日本がとがめる資格はないと考え、領海侵犯はエスカレートした。

 11月のAPEC首脳会議に胡主席が出席できなかったとしても、それは中国の国益を損なうだけだった。むしろ、船長を日本で起訴していれば、施政権の行使という実績にもなり、日本の国益になったはずだ。

 釈放され無罪放免となった中国人船長が中国で英雄扱いされたのは、それだけ中国の国益、言い換えれば日本の国損になったというわけだ。

 鳩山由紀夫元首相とともに「戦後最低最悪」とも評される菅元首相は、いまも立憲民主党の現役国会議員である。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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