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【昭和のことば】後ろ姿と黒髪を強調…好感度CMのさきがけのような存在 ふりむかないで(昭和45年)

 ハニーナイツの歌に併せて、地方都市を歩いている女性が、「ふりむいていただけますか?」とナレーターに声をかけられる。素人女性のはにかみがちな笑顔のエンディングには曲に乗せ、都市名を歌った「◯◯の人~」。「エメロンシャンプー」(ライオン油脂)のCMである。

 後ろ姿と黒髪を強調するという斬新な演出で、さわやかなお色気狙いの、当時8歳であった子供心にも、「おとなの女の人ってすてきだな」と何となく感じさせられるCMだった。好感度CMのさきがけのような存在で、商品も挿入歌も大いにはやった。

 この年の主な事件は、「第3次佐藤栄作内閣成立」「厚生省、LSDを麻薬に指定」「日本万国博覧会EXPO’70開催」「赤軍派学生9人、日航機『よど号』をハイジャック」「東京・銀座などで『歩行者天国』がスタート」「作家の三島由紀夫が『楯の会』会員4人と東京・市ケ谷の陸上自衛隊東部方面総監部に乱入、三島と会員1人割腹自殺」など。

 この年の映画は『戦争と人間』『イージーライダー』。本は藤原弘達『創価学会を斬る』、塩月弥栄子『冠婚葬祭入門』。テレビでは『ありがとう』『細うで繁盛記』が流行。東京都内では、光化学スモッグ公害が頻発した。

 今から思えば、地方の活気をそのまま映し出したようなCMだった。全国に流れる故郷にその土地の人々は胸を張り、都会で働く上京組は、つかの間の故郷の景色(駅前や有名な繁華街などがロケ地だった)を懐かしんだ。

 東京一極集中も言われ始めていたが、まだまだ地方が元気よかった。今、なぜ同じような企画がないのか。それが存在しないということよりも、成り立たないというのが理由なら悲しいことだ。 =敬称略 (中丸謙一朗) 

 

 〈昭和45(1970)年の流行歌〉 「黒ネコのタンゴ」(皆川おさむ)「圭子の夢は夜ひらく」(藤圭子)「走れコータロー」(ソルティ・シュガー)

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