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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】いつの間にか終わった上高地の群発地震 なぜここで始まり、なぜ終わったのか…分からないことがまだ多い (2/2ページ)

 1年半ぶりにようやく群発地震が終わった。

 松代の地下で何が起きたのか分かったのは、その後、研究が進んでからだった。

 それによれば、この群発地震は活火山地帯でもない場所に地下からマグマが上がってきて起こしたものだった。群発地震の終わりに大量に出てきた水も、マグマが地下深くから運んできたものだった。そしてマグマは途中で冷えて固まってくれた。

 北海道・函館郊外の湯の川温泉沖の津軽海峡でも1978年から群発地震が起きた。一度終わったかに見えた群発地震がぶり返して、終止まで4年もかかった。震源は沖なのに函館で38回もの有感地震を感じた。

 これも上がってきたマグマが起こしたもので、マグマは途中で止まったと考えられている。

 火山がないところだから、と安心してはいけない。日本では、どこにマグマが上がってくるかわからないのだ。

 もちろんマグマが地表まで上がってくれば噴火になる。世界的にも、火山があると思われていなかった場所で噴火が始まるのは珍しいことではない。

 今年の上高地の群発地震にも、まだ分からないことが多い。現場は活火山焼岳の足元だから、マグマが上がってくることは十分に考えられる。焼岳は1915年に噴火して観光客に人気の上高地の大正池を作った。

 上高地では1998年にも群発地震があった。

 震源は上高地を離れて北の穂高(ほだか)連峰や槍ケ岳の地下へ移動した。始まったのは夏だったが、同年秋になると群発地震は長野・富山の県境付近で消えてしまった。

 群発地震にはなぜここで始まったのか、なぜ終わったのかなど、分からないことがまだ多い。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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