【歳川隆雄 永田町・霞が関インサイド】菅首相の“巧妙人事” 武田総務相=麻生副総理への牽制、田村厚労相=石破派の自壊を企図 (1/2ページ) 歳川隆雄 永田町・霞が関インサイド
第1次菅内閣の顔ぶれから、ハッキリ分かったことがある。菅義偉首相は「ポスト菅」を、加藤勝信官房長官と、河野太郎行政改革相の2人に競わせる腹積もりなのだ。
褒めすぎと言われるだろうが、筆者は「令和改革内閣」と名付ける。自民党総裁選で「菅氏支持」をいち早く打ち出した主要5派閥への配慮が際立っているのは否めない。
自民党新執行部の二階俊博幹事長(二階派)、佐藤勉総務会長(麻生派)、下村博文政調会長(細田派)、山口泰明選対委員長(竹下派)、森山裕国対委員長(石原派)からも分かる。
閣僚も細田派5人、麻生派3人、竹下派2人、二階派2人、石原派1人であり、派閥の規模通り割り振っている印象だ。
では、今回の組閣と党人事に菅首相(総裁)独自の人選はないのか。
一瞥(いちべつ)するだけでは分かりにくいが、巧妙な人事が隠されている。一例を挙げれば、武田良太総務相(二階派)である。
昨年4月の福岡県知事選は、自民党分裂選挙となった。武田氏ら同党県連が推した無所属現職の小川洋氏と、麻生氏が担いだ自民推薦新人の争いの末、小川知事が再選された。麻生氏の地元・福岡に大きな禍根を残した。
さらに言えば、菅政権の目玉である行政・規制改革を担う河野氏は麻生派であるが、片足を菅グループに置いていることを永田町で知らぬ者はいない。