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北朝鮮が韓国海洋水産省職員を射殺、「蛮行」非難も黙殺 問われる文政権の対北対応 (1/2ページ)

 【ソウル=名村隆寛】韓国国防省は24日、北朝鮮に近い北西部、延坪島(ヨンピョンド)周辺の海域で行方不明となった韓国海洋水産省所属の公務員の男性(40代)が北朝鮮により射殺され、焼却されたと発表した。同省は強い遺憾を表明し「蛮行だ」と北朝鮮を非難。韓国大統領府は国家安全保障会議(NSC)を開き、北朝鮮を「強く糾弾する」と非難した。緊張が高まる中、北朝鮮は韓国側の批判を黙殺している。

 射殺された男性は現場海域で違法漁業の取り締まりをしていたが、21日に船内に靴を残したまま行方不明となった。韓国軍は22日に、男性が救命胴衣を着けて漂流中に北朝鮮側海域で発見されたことを把握。男性はその後、射殺され、遺体が焼かれたことが確認された。

 韓国軍は「蛮行を強く糾弾し、説明と責任者の処罰を強く求める」と訴えるとともに、「全責任は北朝鮮にある」と強く警告した。韓国軍は北朝鮮側に連絡を試みたが、24日午後の時点で返答はないという。

 韓国軍関係者は、事情聴取した上で北朝鮮は男性を射殺したとみられると明らかにした。射殺の背景は不明だが、韓国では新型コロナウイルスの防疫措置のためとの見方が強い。また、男性は越境の意思を漏らしていたといい、北朝鮮入りを試みた可能性がある。

 北朝鮮は今年6月、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権下の2018年に南北対話の象徴として北朝鮮側の開城(ケソン)に建設された南北共同連絡事務所を爆破した。にもかかわらず、文在寅大統領は南北対話を提案。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹の金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長は呼びかけに応じるどころか、逆に文氏の提案を激しく非難する談話を発表した。