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【最新国防ファイル】「バンパイア」 国内1機、英国製の幻の練習機 (1/2ページ)

 航空自衛隊はこれまで、数多くの航空機を運用してきたが、そこに名を連ねることもなく、極めて異彩を放つ存在がある。それが、英国デ・ハビラント社が製造した「バンパイア」だ。

 同機は、第2次世界大戦中の1943年9月に初飛行したが、部隊配備を前に終戦を迎えた。戦後、英空軍に配備されていくとともに、イタリアやスイス、インドなどでもライセンス生産された。当時珍しかったジェット戦闘機で、最終的に3200機近くが製造された傑作機となった。

 この機体を、日本も1機だけ購入した。しかしながら、ほとんどの人がその存在すら知らない幻の練習機となった。

 54年に空自が発足すると、米軍から戦闘機をはじめとした各種航空機が供与され、部隊を整備していった。米軍練習機を使ってパイロット教育も急ピッチで進んでいく。

 当時、中等練習機として、T-6が使用されていた。この機体は、戦中に米軍に配備されていたレシプロ機であり、同機で訓練を行った後、ジェット練習機T-33へと進んでいく。だが、T-6からT-33の性能差が大きく、部内から見直しを求める声が上がる。後継機種をめぐり、米製練習機を推す声も多いなか、55年に国産化することが決定した。

 日本は長らくGHQ(連合国軍総司令部)により「航空禁止令」が発令され、国産航空機開発ができなかった。いったん途絶えた航空産業技術を復活させるため、必死で情報を集めた。そこで、参考として「バンパイア」の練習機型であるT.55型を購入した。双胴機という特徴を持ち、さらにパイロット2人が横に並んで座るサイドバイサイド配置のコックピットとなっている珍しい機体だ。

 空自はこのコックピットに興味を持った。教官が横に座ることで、パイロット学生が、どこに注意を払い、どのような操作をしているのか一目瞭然であり、教育には向いていると思われたからだ。

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