記事詳細

金正恩「反省したふり」に透ける恐怖政治の絶対的な自信 (1/2ページ)

 10日の朝鮮労働党創立75周年を記念した閲兵式で演説し、経済的な苦難を強いられている国民に感謝と謝罪の言葉を繰り返した金正恩党委員長が、またもや反省の弁を述べた。

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は14日、金正恩氏が台風で被害を受けた咸鏡南道(ハムギョンナムド)検徳(コムドク)地区の災害復旧現場を現地指導したと伝えた。日時は明かされていないが、現地指導は前日に行われたものと思われる。

 ◆電力難を訴えて処刑

 その際に金正恩氏は、地方の住民たちの生活実態を把握できていなかったことを認め、「深刻に自責すべき」と述べたという。以下は朝鮮中央通信の公式日本語訳の抜粋だ。

 金正恩委員長は、住宅建設場に行く峠道で山坂に平屋の住宅がでこぼこに狭く位置している光景を見て深く心配した。

 金正恩委員長は、半世紀もはるか前に建設した住宅がまだそのままある、われわれが災害で倒壊した家だけを新たに建設してやる考えだけをしたが、あまりにも無残な環境と住宅で苦労している人民の実状を十分に分からなかった、(中略)このように立ち遅れた生活環境の中で暮らすようにしたことを深刻に自責すべきであると指摘し、今日、われわれがこのような地方の人民の暮らし状況を見ながらも顔を背けるなら、わが党の人民的施策が空論に過ぎず、メンツを立てることにしかならないであろう、(中略)本当に良心が許さないと述べた。

 このような金正恩氏の態度は、本心からのものだろうか。おそらく、彼自身の何不自由のない暮らしとかけ離れた貧しさを目撃したうえでの、率直な感想ではあるのだろう。

 ただ、唯一的領導体制という絶対的な独裁体制を敷く北朝鮮において、金正恩氏は「全知全能」とも言える存在だ。彼が知りたいと思ったことは知ることができ、誰かに何かをさせたいと思えば、そうさせることができる。そんな彼に、地方の生活実態の報告が上がらなかったのだとすれば、そこにはそれだけの理由があるのだ。

デイリーNKジャパン

関連ニュース