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【朝日新聞研究】日本の「唯一の被曝国」は正確とは言えない 中国も行っていた「核実験」ウイグルの実情を調査報道すべき (2/2ページ)

 それでも、太平洋における米国やフランスの核実験による被曝については、それなりに情報が出されているようである。

 従って、最も知られていないのは、自由のない共産主義国家である、中国の場合であると考えざるを得ない。

 中国は64年10月、日本で東京オリンピックが開催されていた、まさにその時、最初の核実験を行った。実験場は新疆ウイグル自治区のロプノールである。

 80年まで中国では多くの核実験が行われたが、被曝者に対してどんな対策が取られたのだろうか。情報が完全に統制された国であるから、きちんとした治療が行われたとは、とても考えられない。

 中国の核実験については、以前、物理学者の高田純氏が著書『中国の核実験-シルクロードで発生した地表核爆発災害』(医療科学社)を出版し、一時的に話題になったことがあるが、今は情報がほとんど出てこない。100万人以上が強制収容所に送られているという現地で、実情はどうなっているのだろう。

 核問題に関して、とりわけ熱心な朝日新聞は、中国の被曝者について、自慢の調査報道を遂行すべきである。

 ■酒井信彦(さかい・のぶひこ) 元東京大学教授。1943年、神奈川県生まれ。70年3月、東大大学院人文科学研究科修士課程修了。同年4月、東大史料編纂所に勤務し、「大日本史料」(11編・10編)の編纂に従事する一方、アジアの民族問題などを中心に研究する。2006年3月、定年退職。現在、新聞や月刊誌で記事やコラムを執筆する。著書に『虐日偽善に狂う朝日新聞』(日新報道)など。

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