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【有本香の以読制毒】安倍レガシー「自由で開かれたインド太平洋」進化なるか 豪報道は歴史的「日豪安保」締結も日本では… これでは国民に事態の深刻さ伝わらない (3/3ページ)

 オーストラリア紙が「防衛協定(=安保条約と言い換えてもいい)」という単語を使い、「歴史的な署名(締結)」と言っているのに対し、日本の全国紙はあくまでも、「訓練の円滑化に合意しただけですよ」という腰の引けた表現に終止している。これでは日本国民に事態の深刻さは伝わらない。記事中では各紙とも「中国の脅威に対応した策だ」と書いてはいるが、それでも相手国に比べトーンが格段にやわらかい。

 米大統領選の結果もいまだ不透明ななか、沖縄県・尖閣諸島でも明らかなように、中国の周辺諸国への侵略的行動は露骨さの度を増している。にもかかわらず、日本の報道機関の国民への警鐘はいまだ眠い音色でしかない。いつになったら、目覚めのアラームを鳴らすのか。

 果たして、安倍前政権で初めて発信され、日本と米国、オーストラリア、インドとの間で共有された「自由で開かれたインド太平洋」なる理念は今後も受け継がれ発展させられるのか-。

 菅首相の手腕に大いに期待すると同時に、大メディアに、安全保障についての正しい現状認識を求めたいところである。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

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