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【高橋洋一 日本の解き方】コロナショックによる物価下落の要因を見極める 30兆円の需要不足に対応を 経済運営の手腕が問われる (1/2ページ)

 総務省が発表した10月の消費者物価指数(CPI、2015=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101・3と、前年同月比0・7%下落し、下げ幅は9年7カ月ぶりの大きさとなった。「Go To トラベル」の影響で宿泊代が下がった影響とされている。

 一般論を考えよう。各種の経済ショックで国内総生産(GDP)が落ち込むが、それが「供給ショック」なのか「需要ショック」なのかを見極めるのは、経済政策のイロハのイである。

 言い換えるとマクロ経済分析での総供給曲線のシフトなのか、総需要曲線のシフトなのかだ。しかし、実際にはどちらのタイプであるかを判断するのは簡単ではない。ほとんどの場合、総供給も総需要も共にシフトするからだ。

 そこで、どちらのシフトがより大きいのかを見極めることが重要になる。これによって処方箋としての経済対策も全く異なってくる。

 供給ショックの場合、財政出動や金融緩和を使うと、インフレが高まり、スタグフレーション(不況下のインフレ)になってしまう。この場合、基本的には供給曲線を元に戻すような施策が必要であり、総需要管理政策として増税や金融引き締めも必要になってくる。

 これに対し、需要ショックの場合には、財政出動や金融緩和によって有効需要を増やす政策になる。

 歴史を振り返ると、1970年代の石油ショックは供給ショックだったし、2008年のリーマン・ショックは需要ショックだった。11年の東日本大震災の際、日本の主流経済学者の多くが復興増税を主張したが、その背景として供給ショックという見立てがあった。サプライチェーン(流通網)の寸断があったので、供給ショックと見たのだが、それは誤りだった。

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