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病床数「世界一」なのに医療体制逼迫のなぜ 政府、大阪と北海道に“困った時の自衛隊”派遣 「医療を民間任せにせず、指揮命令系統一元化を」 (1/2ページ)

 中国・武漢市で新型コロナウイルスの発症者が確認されてから1年。政府は、医療体制が逼迫(ひっぱく)する大阪府や北海道に自衛隊の看護師らを派遣する方針を固めた。世界一の人口比病床数を誇り、欧米に比べて新型コロナの死者数や重症者数も圧倒的に少ない日本だが、なぜか「医療崩壊の危機」だという。「困ったときの自衛隊頼み」でいいのか。

 

 大阪府の吉村洋文知事は7日、「岸信夫防衛相に(医療従事者の派遣を)要請した」と述べた。府の実際の運用病床数(174床)に占める重症者の割合(運用率)は7日時点で81・0%に達している。北海道の鈴木直道知事も8日、旭川市に看護師を派遣するよう自衛隊側に要請する。

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏は、「全国に1000人いる自衛隊の看護師に注目が集まるが、余裕があるほどの人員が配置されているわけでもない。予算も十分ではなく、活動が長期間に及ぶと不足する場合もありうる」と解説する。

 看護師の派遣は、自衛隊法が定める「災害派遣」として実施される。自衛隊依存の構図について、世良氏は「隊員の士気は高いが、装備面が追いつかず同情すべき部分も多い。憲法改正もなく、自衛隊の存在も曖昧にされながら、本来の防衛という任務に加え、困ったときに災害派遣要請という形でしわ寄せが来る形はおかしい。日頃から自衛隊の位置付けを含め、正面から議論する必要がある」と指摘した。

 一方、冬場の感染状況について東北大学災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は、「寒くなって感染力が増加するのであれば、人も動く年末年始に感染拡大に拍車がかかると危惧する。年末年始は医療も休日体制となり、医療資源の供給も制限されるので、重症者数や死亡者数ともに増える可能性が大きい」と懸念する。

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