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日本製鉄資産、売却手続きへ 韓国地裁、公示送達が効力 問題も長期化か

 【ソウル=名村隆寛】韓国でのいわゆる徴用工訴訟で、日本製鉄(旧新日鉄住金)が差し押さえられた韓国内の資産売却に関する書類を、同社が受け取ったとみなす「公示送達」の効力が9日発生し、売却に向けた手続きが可能となった。実際の売却までには時間を要し、問題も長期化する見通しだ。

 書類は資産売却に関して日本製鉄の意見を聞く「審問書」などで、韓国の大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支部がホームページに一定期間掲示したことで日本製鉄が受け取ったとみなされた。同社は「内容を確認の上、適切に対応する」とコメントした。

 裁判所は今後、資産の鑑定などを経て売却命令を出す手続きに移ることができる。命令を出すためには審理を行わねばならず、命令を出しても売却命令書の日本製鉄への送達が必要となる。同社側の即時抗告も見込まれ、資産の売却・現金化はさらに時間がかかる。

 韓国ではこのほか、元女子勤労挺身(ていしん)隊員の訴訟をめぐり、三菱重工業の資産売却に関する公示送達の効力がすでに発生。大田(テジョン)地裁は資産差し押さえに関する公示送達手続きもとり、今月30日までに効力が発生する。

 両社にそれぞれ賠償を命じた韓国最高裁の判決について、日本政府は「請求権問題の『完全かつ最終的』な解決を定めた日韓請求権協定に反している」とし、韓国政府に適切な対応を求めているが、韓国政府は「司法判断を尊重する」との立場を崩していない。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は最近、北朝鮮との関係改善の好機と見込む東京五輪への協力など、日本との関係改善を探る姿勢も見せる。11月の訪日で菅義偉首相らと会談した韓日議員連盟の金振杓(キム・ジンピョ)会長(与党所属)は徴用工問題について「韓日首脳が決断できるのが最善だが、今できないなら東京五輪が終わるまで縫合(封印)しようと提案した」と述べている。

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