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【日本の元気 山根一眞】生命の起源解明に期待 小惑星探査機「はやぶさ2」の「分離カプセル」が12月6日帰還 (2/2ページ)

 その会見中、クールな宇宙工学者である國中さんが、涙を滲ませ声を詰まらせた。それは、カプセルの着地点が、想定ポイントと誤差200メートル以内だったと語った時だった。故障だらけでボロボロのはやぶさを緻密に緻密に計算し制御し狙い通りの標的に落とせた…。なぜ、そんな超正確な操作が可能だったのか、いくら説明を聞いても納得できないままだったが。

 WPAの小さな「的」にカプセルをパラシュートで着地させることの難しさ、すごさは、今回のはやぶさ2でも同じだ。「的」への狙いを定める最後の軌道微調整(TCM-4)は12月1日。そこは地球から180万キロも離れた宇宙空間で、地球と月の距離の4・7倍というかなたなのだ。

 そして、はやぶさ2は12月5日、地球から約22万キロ(地球と月の距離の半分よりも遠い位置)でカプセルを分離。カプセルはその後の軌道修正もなくウーメラの「的」へ着地、という手順だ。この着地に限らず6年間のはやぶさ2のミッションは、はやぶさ初号機よりさらに進化した精密制御を駆使する日々をこなしてきた。

 10年前、ウーメラで國中さんに「はやぶさの帰還成功は奇跡?」と聞いたところ返答は「努力の結果です」だった。明日、はやぶさ2も間違いなくチームの「努力」を見せてくれると信じて、栄光の瞬間を待っている。

 ■山根一眞(やまね・かずま) ノンフィクション作家、福井県年縞博物館特別館長。愛地球博愛知県総合プロデューサーなど多くの博覧祭も手がけてきた。近刊は『理化学研究所 100年目の巨大研究機関』『スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち』。「山根一眞の科学者を訪ねて三千里」(講談社)を連載中。理化学研究所名誉相談役、JAXA客員、福井県交流文化顧問、獨協大学非常勤講師、日本文藝家協会会員。

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