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【大前研一 大前研一のニュース時評】医療費は年齢ではなく、所得に応じた負担を求める 年金の次世代への先送りは絶対回避すべき (1/2ページ)

 政府は14日、首相官邸で全世代型社会保障検討会議を開いて、最終報告をまとめた。75歳以上の医療費窓口負担については、単身世帯で年収200万円以上の人を現行の1割から2割に引き上げる方針。2022年10月から実施予定。22年に団塊の世代が75歳の後期高齢者になるのを受け、現役世代の負担を軽減するもの。

 後期高齢者医療制度は、患者の窓口負担を除き、財源の4割を会社員らが加入する健康保険組合からの支援金で賄われている。しかし、高齢化が進んで健保組合の財政を圧迫していて、現役世代の負担軽減を求める声が上がっていた。今回、負担軽減は年間880億円見込まれている。

 政府の試算では40年度時点の社会保障給付費は最大190兆円に達し、そのうち医療費は35%の66兆7000億円を占めると予測されている。現在、社会保障費は歳出全体の3分の1を占め、国民医療費も50兆円に向けて伸び続けている。

 厚生労働省が先月30日に発表した18年度の国民医療費は43兆3949億円。2年連続で過去最高を更新した。医療機関や調剤薬局が受け取る診療報酬の単価を引き下げたものの、高齢化や医療技術の高度化による伸びが上回った。今後も増加が続くだろう。

 1人あたりの医療費は、65歳未満が18万8300円、75歳以上の後期高齢者は91万8700円。後期高齢者の医療費が現役世代の5倍近くになっている。

 そんな状況の中、自民党は2割に引き上げる対象を「年収170万円以上」と主張した。しかし、連立を組む公明党は「年収240万円以上」と掲げ、調整は難航してきたが、9日の菅義偉首相と公明党・山口那津男代表とのトップ会談で、「年収200万円以上」の折衷案で決着した。

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