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【回顧2020】自衛隊に「奉仕や犠牲の精神」強いるな 命がけの任務に安すぎる報酬、結果として国民の命も安く軽くなる 国防ジャーナリスト小笠原理恵氏 (1/2ページ)

 日本人は「命を削って」「不眠不休で」というような、「精神と肉体の限界」を超えてミッションを遂行する美談を好む。

 一方、中国は数十年かけてアジア太平洋諸国を圧倒する軍事力を着々と積み上げてきた。圧倒的な物量と人員を準備して、余裕のある勝負を仕掛け、最小の犠牲で海洋支配を広げ、覇権獲得を目指している。

 沖縄県・尖閣諸島周辺海域に公船を侵入させていた中国海警局(海警)は2018年、中央軍事委員会の指揮下にある人民武装警察部隊(武警)に編入された。先月草案が明らかになった「外国船に対して武器使用を認める」とする海警法が成立すれば、尖閣周辺で、漁船や、海上保安庁、海上自衛隊から負傷者が出る可能性が高まる。

 もはや中国の台頭を抑えるには、日米同盟だけでは心もとない。これまで、インド太平洋の国々が連携して中国の覇権主義に立ち向かう体制を構築してきたが、米大統領選の結論で潮流が変わるかもしれない。憲法9条に縛られた自衛隊では国を守り切れないのは自明の理である。

 とりわけ、尖閣防衛の要である海上自衛隊の人員不足は危機的だ。潜水艦に女性自衛官の導入を決めたことも、自動・省人化運用を達成した新型護衛艦「くまの」の登場も、海上自衛隊の深刻な人員不足を反映している。だが、戦場では負傷者が出れば艦は簡単に運用不能になる。最悪の事態を想定して余裕ある交代要員数の配置が必須条件である。

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