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【政界マル秘紳士録】安倍晋三前首相 過ちは改むるに憚ることなかれ 「名を惜しむ政治家」であってほしい (2/2ページ)

 翌25日、安倍氏は衆参両院議院運営委員会で「事実と異なる答弁」を訂正し、「国民、すべての国会議員に深くおわびする」と陳謝した。野党は「疑惑が深まった」として、証人喚問を要求する構えだ。

 確かに、「国会と国民軽視」と批判された道義的責任、政治的責任は極めて重いが、これらを法的に裁くことはできない。首相経験者としての、道義的・政治的責任をどう処すかは、安倍氏自身が良心に従って判断することに尽きる。

 中曽根康弘元首相は著書で、「政治家は歴史法廷の被告人」と記した。安倍氏の身の処し方の是非は「歴史法廷」に委ねることになる。

 前夜祭問題で、国民の政治家不信を招いたことは、安倍氏の不徳である。長期政権の「緩み」と「慢心」、起訴された公設第一秘書ら安倍事務所の「慢心」の結果といえる。

 安倍氏は7年8カ月の長期政権を担い、外交、内政で多大な実績を残し、世界における日本の地位を高めたことも事実である。それだけに「名を惜しむ政治家」であってほしいと考える。

 これを機に、表舞台での活動を自粛し、謙虚に縁の下の力持ちに徹し、内閣支持率に浮足立つ安倍チルドレンと呼ばれる若手議員を指導することも、首相経験者に課せられた重要課題である。

 ■伊藤達美(いとう・たつみ) 政治評論家。1952年、秋田県生まれ。講談社などの取材記者を経て、独立。永田町取材三十数年。政界、政治家の表裏に精通する。著作に『東條家の言い分』『検証「国対政治」の功罪』など多数。『東條家の言い分』は、その後の靖国神社公式参拝論争に一石を投じた。

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