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【有本香の以読制毒】“政局女王”小池百合子氏に翻弄される菅首相 国民にズレた「自粛お願い」繰り返し…まずはさっさと国境を閉めるべき

 7日の早朝、本稿を急遽(きゅうきょ)書き直している。米国の首都・ワシントンDCが、非常事態となっているからだ。

 現地時間の6日午後、大統領選の選挙人票開票に伴う上下両院合同会議で、マイク・ペンス副大統領が「大統領選でトランプ氏が敗北した結果を覆す権限を自分は有していない」と表明したことをきっかけに、議事堂周辺に集まっていた群衆の一部が議事堂内になだれ込んだ。

 なだれ込んだ人々がトランプ支持者か、はたまた反トランプ派かは不明だが、ワシントンDC市長は夜間外出禁止令を出し、州兵派遣を要請、警察200人が配備されている。

 混乱を良しとはしないが、米国民の政治への「熱」は、今の日本人に最も欠けているもののように思う。そのわが身を振り返ると、まさか1年にもわたって、日本政府に同じクレームをし続ける羽目に陥るとは思いもしなかった。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、非常事態宣言を発令しようかという今になってもまだ、政府が、コロナ発生国の中国を含む外国からの入国者を止めないからだ。

 前回の緊急事態宣言後、5月以降の入国者の状況を見ると、ひと月の例外もなく、外国籍者の感染者数が、日本国籍者より多い=別表参照=にもかかわらずである。

 大臣や都道府県知事が連日、血相を変えて「医療が崩壊するー!」と叫んでいるが、その貴重な病床と医療のマンパワー、医療費を外国人に割くことには至って寛容なことが解せない。この方々は一体、誰のための政治をしているのか。

 昨年末、コロナ担当の西村康稔経済再生担当相は、自身のツイッターにアップした動画で、「やむを得ず帰省する場合でも、高齢の親族と会う際は玄関先であいさつするだけで家には上がらないといった配慮が必要です」と国民に呼びかけた。

 これには案の定、「渾身(こんしん)のギャグか?」などのコメントが寄せられ、炎上した。どこの世界に、わざわざ実家に帰省して玄関先で親の顔だけ見て帰る人がいるというのか。

 国民には、これだけズレた「自粛のお願い」や、「県を越えての移動はやめて」などと言いながら、“なんちゃってビジネス外国人”の国を越えた移動はOK。このデタラメさのなか、結局私は、1年前と同じく、「まずはさっさと国境を閉めるべき」と叫び続けている。

 だが、その甲斐もなく、6日午後現在もまだ、「ビジネストラック」なる往来すら停止されていない。しかも、このビジネストラック、特定国との間で、同条件、相互主義での限定的な人の往来と言われているが、実態は相互主義とは程遠い。

 例えば、日本は何事も「お願い」ベースだが、他国では入国者の行動は政府製のアプリなどで監視され、2週間の隔離が義務付けられる。具体的に、シンガポールでは、隔離期間の入国者の交通手段は所属組織が用意確保しなければ入国許可は下りない。

 政府はもちろんだが、この半年間、国会、都道府県知事は何をしてきたのか? 冬季に感染者が増えることは予想されながら、重症化患者のための病床確保や、医療人材の確保に有効な策、思い切って補助金を出すなどの策は打たれなかった。「指定感染症の見直し」も国会で議論すらされない。ただただ、テレビが煽る「世論」をうかがい、国民の活動を止める「お願い」を繰り返し、その一方で外国から入ってくる人々の水際対策は世界でも類を見ないユルユルさ。

 しかも、ここでまた脚光を浴びようとしているのが、「政局女王」の小池百合子・東京都知事だ。4年前の拙著『「小池劇場」が日本を滅ぼす』(幻冬舎)現象が、また繰り返されようとしている。

 菅義偉首相は、小池氏のワイドショー的政治手法をひどく嫌っているといわれるが、今回は小池氏に翻弄されている。

 これでは政権支持率の再浮上などあるはずもなく、7月の東京都議選の勝利もおぼつかない。さらに、いくら温和な日本人とて、長期にわたり過重な負担を押し付けられたら、いずれ怒りが熱を持つこともあり得る。DCの現状を見て、日本の政治家も用心すべきだ。国民を舐めてはいけない。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

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