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【昭和のことば】「ぐうたらシリーズ」ベストセラーで一気に流行 「ぐうたら」(昭和48年)

 ぐうたらは、愚かでたるんでいることの意。「ぐう」は愚の長音、「たら」は「弛む」が変化したもの。江戸時代から使われている古いことばだが、この年、狐狸庵先生こと作家・遠藤周作の「ぐうたらシリーズ」がベストセラーになり、一気に流行した。

 シリーズは『ぐうたら人間学』『ぐうたら愛情学』『ぐうたら生活入門』『ぐうたら交遊録』など、スピードアップしつつある時代にのんびり人生を説くこれらの本は、学生から社会人まで幅広い層に読まれた。

 この年の主な事件は、「70歳以上の老人医療無料化実施」「浅間山大爆発」「国民の祝日法改正公布」「東京・江東区、杉並区からのゴミを実力阻止(ゴミ戦争)」「日航機、アムステルダム上空でアラブゲリラにハイジャック」「来日中の韓国新民党元大統領候補・金大中、東京のホテルから白昼強制連行(金大中事件)」「国電にシルバーシート登場」「江崎玲於奈、ノーベル物理学賞受賞決定」「関西で、スーパーのトイレットペーパー買い占め騒ぎが発生」「政府、石油緊急対策要綱決定。ガソリンスタンドの日曜・祝日休業を実施」など。

 この年の映画は『仁義なき戦い』『ジョニーは戦場へ行った』。本は、山崎豊子『華麗なる一族』、五島勉『ノストラダムスの大予言』など。プロ野球の巨人がV9を達成。テレビでは『子連れ狼』がはやった。

 最近は、近年にもまして、ほんとうに「ぐうたら」しなくなった。働き方改革がどんなにうたわれても、コロナ禍でどんなにテレワークが推進されても、もはやわれわれの魂レベルでぐうたらが許されていないかのようだ。ぐうたらは勇気、そんなことを思う年明けである。=敬称略(中丸謙一朗)

 〈昭和48(1973)年の流行歌〉 「神田川」(南こうせつとかぐや姫)「なみだの操」(殿さまキングス)「あなた」(小坂明子)

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