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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】ミリ秒単位で揺らぐ地球の自転 史上初の「マイナスのうるう秒」導入するのか (2/2ページ)

 地球上を吹いている風の分布が変わったのか、エルニーニョのような気候変動のせいだろうか。地球の深部にある溶けた鉄の球になにかが起きたせいではないか。しかし、どれも推測でしかない。

 そもそも、この「揺らぎ」が分かったのは1972年に精密な原子時計が導入されてからのことだ。つまり年とか日の長さを、それまでの太陽の観測から決めていたやりかたをやめて、原子時計を使って定義することにしたのだ。ちなみに原子時計の精度は100億年に1秒と言われている。

 ◆マイナスのうるう秒

 原子時計を基準にして地球の動きや暦を固定したために、実際の地球の自転の変化があれば、それに合わせて地球上の時計を調整しなければならなくなった。

 このため72年以来、原子時計と地球の自転を合わせるためにプラスの「うるう秒」が入れられてきた。地球の自転が原子時計に比べて0・4秒以上ズレてしまったときにうるう秒が入れられてきた。その年の6月か12月の終わりに「うるう秒」が入る。こうして72年以来挿入されたうるう秒は27回あった。

 最後にこのプラスの挿入が行われたのは2016年の大みそかのことだ。このときが最後の修正で、その後は自転の速さが増している。20年は、最短だった7月19日には1・46ミリ秒短かった。この数年、地球の自転が加速したせいで自転のほうが原子時計よりも早くなっているのだ。

 さて、この勢いが続けば、史上初のマイナスのうるう秒を導入するのだろうか。

 うるう秒を導入するかどうかを決めるのはフランス・パリにある国際地球回転・基準系事業(IERS)だ。いま悩んでいるに違いない。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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