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【高橋洋一 日本の解き方】日銀の10年前のETF購入 国民負担を懸念するのなら国債を大量購入すべきだった (1/2ページ)

 日銀は2010年7~12月の金融政策決定会合の議事録を公表した。当時の白川方明(まさあき)総裁は、上場投資信託(ETF)購入による金融緩和策について、株価が下落した場合、「われわれがポケットから(穴埋めを)出すわけではなく、国民に負担を掛ける」と発言している。

 当時は1ドル=82円台まで円高が進み、政府は10年9月に6年半ぶりとなる円売りドル買いの為替介入を実施し、日銀に対する金融緩和圧力が高まっていたという背景がある。

 白川氏の発言を理解するために、まず政府と日銀の財政会計的な関係を整理しておこう。

 日銀は、政府からの補助金などの交付団体ではない。一方、日銀が得た最終的な利益は、準備金などを除いて国民の財産なので、日銀納付金として国庫に納付される(日本銀行法第53条)。

 この日銀の利益の源泉は通貨発行益だ。つまり、ほぼ無コストの銀行券等を発行して利付資産を購入するのでその差益を利益とすることができる。その差益は将来にわたって発生するが、その現在価値の総和はほぼ銀行券等の残高になる。この日銀納付金制度は、通貨発行特権に基づくものである。

 政府と日銀は、政府からの一方的な補助金などはないが、通貨発行特権の一部を経費として使えば、それは事実上補助金をもらったことになる。その意味で、日銀が購入したETFに損失が出れば、白川氏の言う通りに国民負担である。

 白川氏が日銀総裁時代に導入した民間金融機関の日銀当座預金に対する付利は、露骨な民間金融機関への「小遣い」であるが、それも国民負担である。

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